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毎日5分!MFTで子供の歯並びと発音をサポートする方法

こんにちは!ウィズ歯科クリニック歯科医師の根本です。
お子さまの歯並びや発音に影響を与えるのは、歯や顎の骨格だけではありません。舌や唇、頬の筋肉の使い方や呼吸の仕方も大きく関係しています。近年、小児矯正では「口腔筋機能療法(MFT)」を取り入れ、舌癖や口呼吸を改善することで、歯並びや発音の改善をサポートする方法が注目されています。毎日わずか5分のトレーニングでも継続することで効果が現れ、後戻り防止にもつながります。本記事では、小児矯正とMFTの関係、家庭でできる具体的なトレーニング方法、さらにマウスピース矯正との併用について詳しく解説します。
小児矯正の口腔筋機能療法とは?

口腔筋機能療法(MFT:Myofunctional Therapy)は、舌・唇・頬など口腔周囲筋の協調運動を回復・向上させるためのリハビリテーション的治療法です。小児矯正と併用することで、歯列や咬合の改善を単に達成するだけでなく、その状態を長期的に安定させやすくなります。
お子さまの歯並びの不正は、遺伝的要因だけで説明できるものではありません。口呼吸、舌の低位保持(低位舌)、口唇閉鎖力の不足、嚥下時の舌突出など、日常的な筋機能の不均衡や習癖が顎顔面の発育や歯列の位置に慢性的な影響を与えます。これらの悪習癖は、矯正治療で一度整えた歯列を再び乱す「後戻り」の主因ともなります。
MFTの主な目的は、
・舌を正しい安静位(上顎切歯乳頭付近に軽く触れ、舌背全体を口蓋に接触させる位置)に保持する習慣の定着
・鼻呼吸の獲得による口呼吸の改善と口腔乾燥リスクの低減
・嚥下時に舌の後方挙上を伴う正しい嚥下パターンの獲得
・発音時における舌・口唇の正確な運動パターンの習得
といった口腔機能全体の正常化です。これにより、歯列や咬合の安定化に加え、唾液自浄作用の維持によるむし歯・歯周病予防、構音機能の改善といった多面的な効果が期待できます。
子供のMFTで舌癖・口呼吸を改善

◎舌癖とは?歯並びへの影響
舌癖とは、安静時や嚥下時に舌が本来あるべき位置(上顎前歯のすぐ後ろ=スポット)から外れている状態を指します。代表的な例が、嚥下時に舌を前方へ押し出す「舌突出癖」です。この癖が続くと、上顎前歯が前方へ傾斜し、出っ歯(上顎前突)や前歯が噛み合わない開咬を引き起こす原因になります。これは嚥下時の持続的な弱い力が、長期的に歯を移動させるためです。
◎口呼吸がもたらす口腔内と顔貌の変化
口呼吸は、鼻の加湿・加温・ろ過機能を経ずに乾いた空気を直接口腔内に送り込みます。その結果、歯茎や口腔粘膜が乾燥し、唾液による自浄作用が低下。むし歯や歯周病のリスクが高まります。また、口呼吸では舌の位置が低くなり、歯列を内側から支える力が不足。成長期のお子さまでは、上顎の発育不足や歯列の狭窄、下顎の後退を伴う「アデノイド顔貌」が形成されやすくなります。
◎MFTによる舌癖・口呼吸改善のアプローチ
MFT(口腔筋機能療法)では、舌筋や口唇の筋力を科学的根拠に基づいて強化し、正しい舌位と鼻呼吸を習慣化します。日中・就寝時を通して鼻呼吸を意識し、舌尖をスポットに安定させるトレーニングから始めます。これにより、歯列や顎骨の成長を阻害する不正な力が減少し、顎顔面の調和の取れた発育と、安定した歯並びの獲得が促進されます。
MFTでトレーニングする方法

MFTのトレーニングは、1日わずか5分からでも始められますが、その効果を最大限に引き出すには、正しい方法と継続が不可欠です。以下に代表的な4つの方法を、臨床的背景とともにご紹介します。
1. 舌の安静位トレーニング
舌尖(舌の先端)を上顎前歯のすぐ後方、切歯乳頭付近の「スポット」と呼ばれる部位に軽く触れさせ、舌背全体を口蓋に密着させて保持します。舌の正しい安静位は、鼻呼吸の促進や歯列の安定に直結し、長期的な後戻り防止にも寄与します。最初は5〜10秒から始め、慣れに応じて時間を延ばすと効果的です。
2. ポッピング(舌はじき)
舌を強く口蓋に吸着させた状態から、勢いよく「ポン」という音を立てて離します。この動作は舌筋の協調性と筋力を強化し、低位舌傾向や舌癖の改善に有効です。特に安静時に舌が下がりやすいお子さまに適しており、1日10回程度を目安に行います。
3. ストロー嚥下トレーニング
ストローで水を一口吸い込み、舌を前方に押し出さず、舌背後方を持ち上げるようにして嚥下します。嚥下時の舌の動きを正しいパターンに矯正し、前歯に不必要な圧力がかかるのを防ぎます。これにより、開咬や上顎前突の予防に加え、嚥下に伴う口腔周囲筋の協調性も高まります。
4. リップシールトレーニング(口唇閉鎖訓練)
鼻呼吸の定着と口呼吸改善には、口唇閉鎖力の向上が欠かせません。軽く唇を閉じ、口角に力を入れずに5〜10秒保持します。慣れてきたら、市販の口唇閉鎖力トレーナーや割り箸を唇で挟み、落とさないように保持する応用法も効果的です。口唇閉鎖力が向上すると、常時口が開く「お口ポカン」状態が改善し、歯列や顎の成長環境も良好になります。
これらのトレーニングは、あくまで基本的な一例であり、歯科医師や歯科衛生士が個々のお子さまの筋機能評価を行い、必要に応じて方法や回数を調整します。重要なのは、日々の生活の中で継続し、神経筋の動きを正しいパターンとして定着させることです。
MFTと併用するマウスピース矯正について
MFTは単独でも一定の効果が得られますが、歯列や顎骨が成長発育中のお子さまでは、マウスピース矯正との併用がより効果的です。マウスピース型矯正装置(例:プレオルソ、T4K)は、歯を理想的な位置に誘導すると同時に、装置形状そのものが舌尖を「スポット」に導き、口唇閉鎖を促す構造になっています。これにより、MFTで鍛えた舌・口唇・頬筋の動きを日常生活の中で繰り返し活性化させ、定着させることが可能です。
◎日常的に口腔機能をサポートする構造
マウスピース矯正は、装着中に舌や口唇が正しい位置に置かれるよう設計されており、無意識下でも筋機能を適正化する働きがあります。これは、筋肉の反射的な動きや安静位を改善し、舌癖や口呼吸の自然な改善を助けます。また、装置がもたらす軽度の持続的圧によって歯列や顎の成長方向が整いやすくなります。
◎衛生管理と治療の両立
マウスピースは取り外しが可能なため、食事や歯磨きの際に外せます。これにより、固定式矯正装置に比べて歯の清掃が容易で、むし歯や歯茎の炎症のリスクを低減しながら治療を継続できます。衛生管理のしやすさは、特に小児期の口腔環境維持において大きな利点です。
◎後戻り防止と成長期の骨格発育への好影響
MFTとマウスピース矯正の併用は、矯正後の後戻り防止にも有効です。筋機能が正常化すると、歯列にかかる不正な外力(舌癖・口唇圧)が減少し、治療後の歯の位置が長期的に安定します。さらに、成長期には骨格の成長方向に良い影響を与え、咬合の安定性と顔貌の調和を同時に実現できる可能性があります。
まとめ
口腔筋機能療法(MFT)は、小児矯正の効果を高め、舌癖や口呼吸の改善、後戻り防止に役立つ重要なトレーニングです。毎日5分の継続で、歯並びだけでなく発音や口腔内の健康維持にもつながります。家庭で行う簡単なトレーニングから始め、必要に応じてマウスピース矯正と組み合わせることで、より高い効果が期待できます。お子さまの健やかな成長と美しい歯並びのために、日々の習慣として取り入れてみてはいかがでしょうか。
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