同じように歯磨きしているのに虫歯になる子・ならない子の違い

こんにちは!ウィズ歯科クリニックの歯科医師の手島です。
毎日歯を磨いているのに、むし歯を繰り返すお子さまがいれば、多少磨き残しがあってもむし歯になりにくいお子さまもいます。この違いは、歯磨きの回数や時間だけでは説明できません。歯の質、唾液、食生活、口の中の細菌、仕上げ磨き、歯科医院での予防処置など、いくつもの要因が重なってむし歯のなりやすさが決まります。
▼同じ歯磨きでもむし歯のなりやすさが違う理由

◎歯の質や生え方には個人差がある
むし歯は、口の中の細菌が糖分を利用して酸を作り、その酸によって歯の表面が少しずつ溶かされることで進行します。しかし、歯が酸に耐える力には個人差があります。とくに生えたばかりの乳歯や永久歯は表面が十分に硬くなっておらず、酸の影響を受けやすい状態です。
乳歯は永久歯よりも表面の硬い層が薄く、むし歯が始まると内部まで進みやすい特徴があります。また、奥歯の溝が深いお子さまは、歯ブラシの毛先が溝の奥まで届きにくく、丁寧に磨いていても汚れが残ることがあります。歯並びがガタガタしている場合や、歯と歯が密着している場合も、見える面だけを磨いていては汚れを落とし切れません。
そのため、乳歯のむし歯予防では、「毎日磨いているか」だけでなく、磨きにくい場所を把握し、歯間ブラシやデンタルフロスを年齢に合わせて使うことが大切です。
◎唾液の量と働きも関係する
唾液には、食後に酸性へ傾いた口の中を中性に戻し、溶けかけた歯の表面を修復する働きがあります。唾液の量が多く、その働きが十分なお子さまは、同じ物を食べてもむし歯のリスクが比較的低い傾向があります。一方、口呼吸の習慣がある、あまり噛まずに食べる、水分摂取が少ないといった場合は口の中が乾燥しやすく、唾液の効果が十分に発揮されないことがあります。
寝ている間は唾液の分泌量が減るため、就寝前の歯磨きはとくに重要です。夜にジュースや乳酸菌飲料を飲んだまま眠る習慣があると、糖分が長時間口の中に残り、むし歯が進みやすくなります。
◎口の中の細菌の種類や量が違う
口の中には多くの細菌がすんでおり、その中にはむし歯に関係する細菌も含まれます。細菌の種類や量、歯垢がたまりやすい場所は一人ひとり異なるため、同じ方法で歯を磨いても結果に差が出ます。
家族でスプーンや箸を共有したことだけが原因になるわけではありませんが、幼い時期から家族全体で口の中を清潔に保つことは大切です。お子さまだけを注意するのではなく、保護者の方も定期的に歯科検診を受け、むし歯や歯茎の炎症を治療しておくと、家庭全体で予防に取り組みやすくなります。
▼歯磨き以上に差がつく食べ方と飲み方

◎問題は甘い物の量より「口にする回数」
子どもの間食とむし歯の関係を考えるとき、注意したいのは、お菓子を食べた量だけではなく回数です。糖分を含む物を口にするたび、口の中は酸性に傾きます。その後、唾液の働きによって元の状態へ戻りますが、間を空けずに何度も食べ続けると、歯が修復される時間を確保できません。
たとえば、決めた時間におやつを一度食べる場合と、少量のお菓子を何時間もかけて食べる場合では、後者のほうが歯は酸にさらされる時間が長くなります。むし歯予防では、おやつを全面的に禁止する必要はありません。時間と量を決め、食べ終わったら水やお茶を飲み、だらだら食べを避けることが現実的です。
◎ジュースは飲み方に注意する
ジュースとむし歯の関係は、子供の食生活を考えるうえで見逃せません。果汁飲料、炭酸飲料、スポーツドリンク、乳酸菌飲料などには糖分が含まれているものが多く、少しずつ長時間飲むと、口の中が酸性の状態になりやすくなります。果汁100%でも、糖分と酸を含むため、むし歯のリスクがないわけではありません。
日常の水分補給は水や無糖のお茶を基本とし、ジュースは食事やおやつの時間に限定するとよいでしょう。哺乳瓶やストローマグに甘い飲み物を入れ、長時間持たせる習慣も避けたいところです。発熱や運動時にスポーツドリンクを利用する場合も、必要以上に飲み続けず、体調が戻ったら通常の水分補給へ切り替えます。
◎食事の内容と噛む回数も影響する
やわらかい物ばかりを好み、噛む回数が少ないと、唾液が出にくくなることがあります。野菜、肉、魚などを年齢に合った大きさや硬さで取り入れ、よく噛んで食べる習慣を育てることは、口の中の自浄作用を助けます。
ただし、硬い物を無理に食べさせる必要はありません。歯の生え方や噛み合わせ、食べる力には個人差があります。食事中にむせる、丸のみが多い、片側だけで噛むといった様子が続く場合は、小児歯科で口の動きや歯並びを確認してもらうと安心です。
▼むし歯を防ぐために家庭と歯科医院でできること

◎子どもの歯磨きのコツは「場所」と「順番」を決めること
お子さま自身に歯磨きの習慣をつけることは大切ですが、少なくとも小学校低学年頃までは仕上げ磨きが必要です。本人が磨いた後に、保護者の方が奥歯の溝、歯と歯の間、歯茎との境目を中心に確認しましょう。毎回磨く順番を決めておくと、磨き忘れを減らせます。
歯ブラシは年齢と口の大きさに合う物を選び、毛先が開いたら交換します。力を入れすぎると毛先が歯面に当たりにくくなるため、鉛筆を持つように軽く握り、小刻みに動かすのが基本です。歯と歯の間にはフロスを使います。とくに乳歯の奥歯は隣の歯と接する面からむし歯が始まりやすく、歯ブラシだけでは予防しにくい場所です。
フッ素配合歯磨き剤は、年齢に合った濃度と量を守って使用します。使用後は何度もうがいをせず、少量の水で一度すすぐ程度にすると、フッ素が口の中に残りやすくなります。うがいができない年齢では、使用方法を歯科医師や歯科衛生士に確認してください。
◎定期検診で「その子の弱点」を見つける
子どもの定期歯科検診では、むし歯の有無だけでなく、磨き残し、歯の生え方、歯並び、歯茎の状態、噛み合わせ、食習慣などを確認します。初期のむし歯は痛みがなく、見た目だけでは気づきにくいため、症状が出てから受診するよりも、定期的に確認するほうが負担の少ない対応につながります。
検診の間隔はすべてのお子さまで同じではありません。むし歯を繰り返している、奥歯の溝が深い、矯正装置を使っている、仕上げ磨きが難しいといった場合は、短い間隔での確認が勧められることがあります。反対に、口の中が安定している場合でも、成長に伴って歯並びや生活習慣は変化するため、継続して通うことが大切です。
◎フッ素塗布やシーラントを上手に活用する
歯科医院では、歯の表面を酸に強くするフッ素塗布や、奥歯の深い溝を樹脂で埋めるシーラントを行うことがあります。シーラントは歯を削って詰めるむし歯治療とは異なり、汚れが入り込みやすい溝をあらかじめ保護する方法です。ただし、すべての歯に必要とは限らず、外れたり欠けたりすることもあるため、定期的な確認が欠かせません。
予防処置を受けても、歯磨きや食生活が不要になるわけではありません。家庭でのケアと歯科医院での管理を組み合わせることで、お子さまの歯の特徴に合わせた予防がしやすくなります。むし歯になりやすい体質だと諦めず、原因を一つずつ見直していきましょう。早い段階で傾向を知るほど、無理のない予防習慣を家庭でも続けやすくなります。
▼まとめ
同じように歯を磨いていても、歯の質や唾液の性質、歯並び、お口の中の細菌の状態、間食や飲み物の習慣などによって、むし歯のなりやすさは一人ひとり異なります。大切なのは歯磨きの回数だけで安心せず、お子さまの磨きにくい場所や生活習慣を把握し、その子に合った予防を続けることです。
またご家庭での仕上げ磨きや食習慣の工夫に加え、定期的に小児歯科でお口の状態を確認し、フッ素塗布や予防処置を受けることで、むし歯のリスクを減らすことができます。
お子さまのむし歯予防について気になることがございましたら、ウィズ歯科クリニック新松戸までお気軽にご相談ください。一人ひとりのお口の状態や成長に合わせた予防プランをご提案し、お子さまの健やかなお口の成長をサポートいたします。
