親知らずを抜いたあとの食事はどうする？注意点とおすすめメニューを解説｜松戸市の歯医者「ウィズ歯科クリニック新松戸」の豆知識

皆さん、こんにちは！松戸市・新松戸駅前の歯医者、ウィズ歯科クリニック新松戸院長の手島です。

親知らずの抜歯後、「いつから食事できるの？」「どんなものを食べればいいの？」と不安に感じている患者さまも多いのではないでしょうか。抜歯後の食事は、回復を左右する大切なポイントです。刺激の強い食べ物や硬いものを食べてしまうと、痛みや出血、傷口の悪化を招くこともあります。この記事では抜歯後でも安心して食べられるメニューや注意点を詳しく解説します。ぜひご参考になさってください。

親知らずを抜いた直後は、抜歯窩（ばっしか）と呼ばれる傷口がまだ血餅（けっぺい）で覆われただけの不安定な状態です。この血餅は、かさぶたのような役割を果たしており、骨や神経を保護しながら治癒を進めていくうえで非常に重要です。そのため、出血や腫脹（しゅちょう：腫れ）が落ち着くまでの時間帯は、食事を避けることが望ましいとされています。

基本的に、局所麻酔の効果が完全に消失してから食事を始めることが原則です。麻酔が効いている間は触覚や痛覚が鈍くなっているため、気づかないうちに舌や頬、唇の粘膜を噛んでしまうリスクがあります。これにより粘膜損傷や潰瘍、二次的な感染の原因になることがあるため、注意が必要です。

麻酔の持続時間には個人差がありますが、通常は抜歯後2〜3時間程度で効果が切れてくるため、この時間帯を目安に様子を見ながら食事を再開しましょう。ただし、明らかな出血が続いている場合やズキズキとした拍動痛が残っている場合は、無理に食事を取らず、安静を優先してください。

親知らずを抜いたあとは、食べていいものと食べてはいけないものがあります。

食べていいもの

親知らずの抜歯後は、以下のように刺激が少なく、やわらかい食事が基本です。

・おかゆ、雑炊
・ヨーグルト
・絹ごし豆腐
・茶碗蒸し
・バナナや熟したアボカド
・ポタージュなどの温かいスープ（熱すぎないもの）

これらは咀嚼をほとんど必要とせず、体にもやさしいため、抜歯直後でも安心して食べられるものです。また、冷たいプリンやゼリーなどは腫れや痛みを抑える効果も期待できます。

食べてはいけないもの

一方で、以下のような食品は、抜歯部位に悪影響を与える可能性があるため避けてください。

・ナッツやせんべいなどの硬いもの
・辛い料理、スパイスの強い食品
・酸味の強い果物や酢を使った料理
・アルコール類
・炭酸飲料
・ごまやふりかけなど、細かくて傷口に入りやすいもの

特にアルコールや刺激物は、血行を促進して出血を引き起こす恐れがあるため、少なくとも数日間は控えましょう。

親知らずの抜歯後は、患部の治癒を促進するために、栄養価が高く、かつ咀嚼や刺激を最小限に抑えた食事が重要です。抜歯創部は炎症と治癒の過程にあるため、粘膜を刺激しない温度や硬さの食材を選ぶことが推奨されます。

また、傷口に必要な栄養素（タンパク質、ビタミンC、亜鉛など）を効率よく摂取することで、肉芽組織の形成や上皮化が促され、治癒期間の短縮にもつながります。以下に、回復段階に応じた食事内容をご紹介します。

抜歯当日〜翌日：出血・腫脹のリスクが高い時期

この時期は、血餅の安定を最優先に考慮する必要があります。硬いものや熱い食品は避け、冷たくて流動性が高いものを中心にしましょう。

冷製ポタージュ（かぼちゃ・じゃがいも・にんじんなど）

ビタミンA・Cやカリウムを含み、抗炎症作用をサポート。ミキサーにかけた滑らかな質感は創部への刺激が少なく、安全です。

プレーンヨーグルト＋完熟バナナ

ヨーグルトは整腸作用があり、抗生物質を内服している場合でも腸内環境を保ちやすくなります。バナナは消化吸収が良く、糖質・カリウムを補給できます。

ゼリー・プリン（適度に冷やす）

水分と糖分を同時に摂取でき、口腔乾燥や脱水予防にも適しています。果汁入りのゼリーはビタミンCの補給源としても有効です。

抜歯後2〜3日目：腫れが落ち着きはじめる時期

腫脹のピークを過ぎ、軟組織の再生が始まるタイミングでは、やや食感のある柔らかい食材を取り入れても良い時期です。ただし、まだ咀嚼には注意が必要です。

やわらかく煮たうどん・そうめん（ぬるま湯程度に冷ます）

炭水化物のエネルギー源として有用。汁物にすることで水分補給にもなります。

とろみをつけたスープ（卵スープ・豆腐入り中華スープなど）

卵は良質なタンパク源で、組織の修復に欠かせません。熱すぎない温度で提供すれば、傷口を刺激せず安心です。

白身魚のほぐし煮（鯛・タラなど）

低脂質・高タンパクで消化も良好。ビタミンDやB群も豊富で、免疫力向上にも役立ちます。調理時は骨や皮を完全に取り除きましょう。

抜歯後4日目以降〜：徐々に通常食へ移行する時期

創傷治癒が進み、痛みが軽減してきた段階では、やわらかい固形食に段階的に戻すことが可能です。とはいえ、引き続き「刺激の少ないこと」「咀嚼を控えること」が原則です。

やわらかいおにぎり（白米＋塩／梅干し程度）

咀嚼回数が少なくて済むよう、小さく握ったり、ラップで一口大に整えたりするのがよいでしょう。梅干しは酸味が強いため、刺激を感じるようであれば控えてください。

煮込み料理（肉じゃが、かぼちゃの煮物、やわらかく煮た豆類）

野菜や豆類はビタミン・ミネラルが豊富で、免疫維持に有効です。しっかり煮込んで柔らかくしたものを選びましょう。

ミートソースのパスタ（極細・具材はみじん切り）

トマトに含まれるリコピンは抗酸化作用があり、組織修復にも有用です。ただし酸味が強すぎないよう調整し、温度は人肌程度が理想的です。

このように、抜歯後の食事は「創傷治癒のステージ」に合わせて変化させることが、スムーズな回復と快適な生活に直結します。また、バランスのよい栄養摂取は口腔内だけでなく、全身の免疫維持や治癒力の維持にも不可欠です。「食べられるもの」だけでなく、「治癒を助ける食事」を意識することで、より安心・安全に術後を乗り越えることができるでしょう。

最後に、親知らずを抜いたあとの食事で注意すべき点を解説します。

傷口に食べ物が詰まらないようにする

親知らずの抜歯後は、傷口（抜歯窩）に食べ物が入り込むことで細菌の温床となり、感染や治癒の遅延を引き起こす可能性があります。特に粘着性のある食品（もち、パン、チーズなど）や細かい粒状の食材（ごま、ふりかけ、ピーナッツなど）は、抜歯部位に詰まりやすいため、少なくとも1週間は控えるのが望ましいとされています。

もし食べ物が詰まってしまった場合でも、自己判断で強くうがいをしたり、指や舌で取り除こうとしたりするのは避けてください。こうした行為は傷口に形成された「血餅（けっぺい）」を剥がしてしまい、感染性炎症の一種である「ドライソケット（dry socket）」を引き起こすリスクがあります。血餅は、抜歯窩を保護する“自然の絆創膏”のような役割を果たしています。詰まりが気になる場合は、歯科医院での処置を受けることが最も安全です。

うがいは控えめに

食後の口腔内の清潔は大切ですが、抜歯直後に強いうがいを行うと、前述のように血餅が流れ出てしまう恐れがあります。血餅が剥がれると骨が露出した状態になり、激しい痛みを伴うドライソケットを発症する可能性が高まります。

そのため、うがいは水を軽く口に含み、ゆっくりと吐き出す程度にとどめてください。うがい薬を使用する場合も、刺激の少ない処方を選び、使用の可否については担当の歯科医師に確認することをおすすめします。抜歯後2〜3日はとくに注意が必要です。

食後のケアはやさしく丁寧に

食後の歯磨きは、口腔内の衛生状態を保つ上で非常に重要です。ただし、抜歯部位への直接的な刺激は厳禁です。ブラッシングの際は、抜歯した側を避けて、歯ぐきに負担をかけないように軽い力で磨くことが大切です。歯ブラシの毛先が患部に触れそうな場合には、ガーゼや綿棒を使って軽く拭き取る方法も有効です。また、フロスや歯間ブラシの使用は、抜歯部位が完全に治癒するまで控えましょう。

食事中の姿勢にも注意

食事の際の姿勢にも気を配ることで、食べ物が抜歯部位に流れ込みにくくなります。猫背などで頭が前に倒れていると、唾液や食べ物が傷口へ流れ込みやすくなるため、背筋を伸ばして姿勢をまっすぐ保つことを意識しましょう。

また、噛む場所にも工夫が必要です。抜歯した側とは反対側の奥歯を使って咀嚼するよう意識し、抜歯部位に圧力や刺激をかけないようにしてください。口を大きく開けることも患部に負担をかけるため、食べやすいサイズにカットしてから口に運ぶようにすると安心です。

親知らずの抜歯後の食事は、「いつから食べてよいか」「何を食べるか」が重要なポイントです。麻酔が切れたタイミングを見計らい、刺激の少ない柔らかい食事から徐々に通常の食事へと移行していくことが、スムーズな回復につながります。ご紹介したおすすめメニューや食事の注意点を参考に、無理なく安心してお食事を楽しんでいただければと思います。抜歯後の経過に不安がある場合は、いつでも当院までご相談ください。

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