舌のクセ（舌癖）って何？歯並びや発音に影響する習慣とは｜松戸市の歯医者「ウィズ歯科クリニック新松戸」の豆知識

皆さん、こんにちは！松戸市・新松戸駅前の歯医者、ウィズ歯科クリニック新松戸院長の手島です。

「舌のクセ（舌癖）」という言葉をご存知でしょうか？これは、舌の使い方や位置が正しくない状態が習慣化してしまっていることを指し、実はお子さまの歯並びや発音、さらには顔の成長にまで影響を及ぼす可能性があります。舌は会話や食事だけでなく、口の中の環境を整える重要な器官です。日常生活の中で無意識に行われている舌癖が、将来的に歯科治療が必要となる原因になることも少なくありません。そこで今回は、子どもの舌のクセ（舌癖）とはどのようなものか、歯並びや発音にどのような影響を与えるのか、そしてその治し方について詳しくご紹介します。

舌癖（ぜつへき）とは、舌の使い方や位置に関する悪習癖のことを指します。特に成長期の子どもに多く見られ、無意識のうちに習慣化しているケースがほとんどです。以下のような行動が代表的な舌癖にあたります。

・舌を前に突き出す癖（例：飲み込み時に舌で前歯を押す）
・口を閉じても舌が上下の歯の間にある
・舌で歯を押す
・会話中に舌が前に出る
・常に舌が低い位置にある

これらのクセは成長期における口腔機能の発達に悪影響を及ぼすことがあり、歯並びの乱れや発音障害の一因になることもあります。

舌癖は、歯並びに対して以下のような影響を与えることがあります。

前歯を押す力が歯列を乱す

舌癖の中でも代表的なのが、嚥下（飲み込み）時に舌が前方に突出し、前歯を押す「舌突出癖（ぜつとっしゅつへき）」です。人は1日に500～1,000回ほど嚥下を行うとされており、そのたびに舌の圧力が前歯に加わることになります。舌の筋力は一見弱そうに思えますが、反復的かつ継続的にかかる力は無視できず、前歯が前方へと徐々に移動しやすくなります。このような力が長期的に作用すると、上顎前突（いわゆる出っ歯）や開咬（前歯が咬み合わない状態）といった不正咬合を引き起こす要因となります。これらの症状は、単に見た目の問題だけでなく、咀嚼や発音機能にも悪影響を及ぼします。

舌の位置が低いことで歯列が狭くなる

本来、舌は安静時に上顎（口蓋）に軽く接していることが正常な位置関係とされています。この正しい舌位は、舌の広がる力によって上顎の横幅（歯列弓の幅）の発育を自然に促す働きがあります。しかし、舌癖により舌が常に下顎の底部に落ちている状態が続くと、上顎骨に対する舌の拡大刺激が失われ、歯列弓の幅が狭小化（狭窄歯列）してしまうことがあります。その結果、歯が並ぶスペースが不足し、歯の重なりやねじれ（叢生）が発生しやすくなるのです。さらに、狭窄歯列は口呼吸を助長し、舌癖を悪化させる悪循環を生むことも少なくありません。

舌の圧力が長期間かかると骨格に影響も

舌癖による慢性的な力の偏在は、歯列のみにとどまらず、顎骨の成長方向や顔貌の形成にも影響を及ぼすことが知られています。特に、舌の位置が常に低く前方にあると、下顎の成長が促進されすぎてしまい、反対咬合（受け口）の一因になることがあります。また、舌が常に歯列を外側から押す圧力にさらされていると、歯槽骨のリモデリング（骨の再構築）が不均衡となり、上下顎の咬合バランスが崩れていきます。成長期の子どもにおいては、こうした習癖が骨格性の不正咬合へと進展するリスクもあるため、早期の評価と介入が重要です。

舌は発音を構成するうえで極めて重要な器官です。発声時には、声帯から出た音が口腔や鼻腔で共鳴し、舌・唇・歯・口蓋などの調音器官によって明瞭な音へと変換されます。特に舌は、音の細かな調整や明瞭さを司る中心的な役割を担っており、その動きや位置が不適切であると、発音の明瞭度や音声の分化能力に大きな影響を及ぼします。

サ行・タ行・ラ行など子音の発音に支障が出る

舌癖により舌の運動パターンや位置が正しく機能しない場合、発音において最も影響を受けやすいのが舌尖音（舌の先で調音する音）です。日本語では「サ行」「タ行」「ラ行」などがこれに該当します。これらの音は、舌先を上顎前歯のすぐ裏（歯槽提部）に軽く当てたり、そこから素早く離したりすることで生じます。

しかし、舌癖があると以下のような影響が見られることがあります：

・「さ」が「しゃ」に近い音になる（歯茎摩擦音の調整不良）
・「た」が「ちゃ」や「だ」に聞こえる（調音位置の前方化）
・「ら」が不明瞭になり舌足らずな発音になる（舌尖の可動域不足）

こうした症状は、「構音障害（articulation disorder）」と呼ばれる音声障害の一種で、特に機能性構音障害の原因として舌癖が関与しているケースが多くあります。

舌突出や舌の低位が話し方に影響する

舌癖のなかでも、常に舌が前方に出やすい「舌突出癖」や、舌の安静位が低く保たれている「低位舌」の場合、調音時に十分な舌の持ち上がりが得られず、息漏れのある発音や舌足らずな話し方になることがあります。また、口腔周囲筋の筋力が未発達な場合には、舌の位置を正しく保持できず、構音の一貫性が損なわれるため、会話中に発音がばらつきやすくなります。

発音障害が心理・社会面に与える影響

発音の不明瞭さは、聞き手にとって聞き取りにくさを生じさせるだけでなく、話し手であるお子さま自身の心理面にも影響を与えることがあります。たとえば、友人や先生から繰り返し聞き返されることで、自分の話し方に対して恥ずかしさや劣等感を抱くようになることがあります。このような経験が積み重なると、話すことそのものへの苦手意識や、集団での発言への消極性に繋がり、自己肯定感の低下を招くこともあるため、単なる「発音の個性」と軽視せず、早めの評価と対応が大切です。

舌癖を改善するためには、早期発見と適切な指導が大切です。以下に代表的な治し方をご紹介します。

1. MFT（口腔筋機能療法）を取り入れる

MFT（Myofunctional Therapy）とは、口周りや舌の筋肉を鍛え、正しい舌の位置や使い方を身につけるためのトレーニングです。歯科医院では専門医の指導のもと、舌を上顎に正しく置く練習や舌を前に出さないように飲み込む訓練などを行います。

2. トレーニンググッズを活用する

最近では、舌や唇の筋力を強化するための専用トレーニング器具も活用されています。これらの器具を使いながら、家庭でも継続的にトレーニングを行うことで、舌癖の改善が期待できます。

3. 日常生活での習慣を見直す

舌癖は無意識の癖であることが多いため、日常生活の中での観察と声かけが重要です。たとえば、

・食事中に口を閉じて咀嚼するよう促す
・安静時の舌の位置を確認する
・就寝時の口呼吸を防ぐ

といった工夫が役立ちます。

4. 必要に応じて矯正治療を併用することも

舌癖が原因で歯並びが乱れている場合、舌癖の改善と並行して矯正治療を行うことがあります。特に、開咬や出っ歯が進行してしまった場合には、歯科矯正による力のコントロールが必要となることもあります。

舌のクセ（舌癖）は、一見すると些細な習慣に思えるかもしれませんが、放置すると歯並びや発音、さらには顔貌や心理面にも大きな影響を及ぼすことがあります。特にお子さまの場合、早期に発見して正しいトレーニングを行うことで、口腔機能の正常な発達をサポートすることが可能です。ご家庭で気になるクセがある場合は、早めに歯科医院での相談をおすすめします。当院では小児歯科専門医が在籍しており、舌癖の診断・改善指導に対応しておりますので、お気軽にご相談ください。

当院はJR新松戸駅から徒歩10秒と、通院に非常に便利な立地にございます。
また、提携駐車場・駐輪場も完備しておりますので、お車や自転車でも安心してご来院いただけます。ぜひご活用ください。

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ウィズ歯科クリニック新松戸では、患者さまのご不安を少しでも和らげ、安心して通っていただける歯科医院を目指しております。
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